横浜国立大学 コンクリートカヌー

『美』への挑戦

第九話 装飾


ついに完成したカヌー。いつでも海に出れる。

でも、見栄えが悪い…

誰かがつぶやいた
『あんま美じゃない・・・・・・。』
それもそのはず。

まだカヌーの塗装が終わっていない。

カヌーをデザインすることをまかされた光彩センス抜群のメンバーを紹介しよう!!




設計班メンバー紹介(リーダー小野は第二話参照)

Dago Zangmo(修士二年)

研究室の癒し系。

いつも笑いの絶えない彼女と一緒にいれば、忙しさに荒んだ心もマジで癒される。

日本語のレベルが、来たときに比べ格段にUPした。
定月 良倫(学部四年)

身長185cm、体重80kgのゴツい体でバスケなんてやってるものだから、あだ名は速攻でゴリである。(ウソ)

深夜の作業や、メンドくさい買出しなどにもイヤな顔一つせず付き合ってくれるナイスガイ。
吉田 早智子(学部四年)

ラクロス部に所属する体育会系元気な女の子。
部活で真っ黒にやけているため、薄暗くなってくると誰も存在に気付かない。

しかし、部活の試合ともなれば、ラクロス棒(名前知らない)で相手の鎖骨を徹底的に破壊するという残忍な一面も持ち合わせる。(ウソ)





7月17日           

ついにデザイン班の活動が始まった。

まずは打ち合わせ。

第一回ネーミング会議。

この班は酒豪が多いため、打ち合わせ必然的に飲み会を兼ねるというバカっぷり。
それでは、デザイン班会議に、

乾杯〜!!

デザイン会議・・・、 乾杯〜♪♪

デザイン会議は、ビール片手にパソコンで情報収集。


よく見ると、奥の栗田が真っ赤。


それではデザイン会議の模様を、音声でお楽しみ下さい!!

栗田:「どういう名前がいいかなぁ?」
定月:「やっぱり水に関係あるのがいいんじゃないですか?」
中澤:「んじゃあ、ベタに魚の名前ってコトで。」
小野:「サメとか、イルカとかかな・・・・」
定月:「イルカは魚じゃないっす。」
中澤:「いや、私はアジとかトビウオとかを思い浮かべたのだが・・・、」
栗田:「なんかおいしそう・・・・・。」
定月:「栗田さん、アンタ食べ物のコトとなると目ぇ輝かしすぎや。」
小野:「じゃあ栗田のリクエストに応えて食べ物にしようか?」
ダゴ:「食べ物だったら、スズキさんがいいです。」
小松:「・・・・・・・・(食べ物???)」
ダゴ:「それか細田先生とか・・・。」
栗田:「食えねーし・・・・。」
中澤:「じゃあ細田先生の暁と、下田智也で智暁(ともあき)だな。」
小野:「却下。」
定月:「却下で。」
栗田:「細田先生が一番イヤがると思いますよ。」
中澤:「むぅ・・・、確かに・・・・・。」


下らない会話のような会議は続き、何も決まらないまま時間は過ぎ行きます。



以下、ネーミング会議議事録。



いわく、「世の中の会議の7割は無駄である。」

小野:「やっぱ飲みながらの会議は、ダメだな・・・・・。」





あたりめーだ。


中澤:「そういえば気になっていたんですが、このカヌーってオス?メス?」
小野:「フィンがついてるんだから、オスじゃね?」
中澤:「たっ、確かに!!」


こうして、長い長い会議の末、本日ネーミングは決定しませんでした。
結局決まったのは、

『このダクタルカヌーは雄である。』

というコトだけ。

決まりかけたネーミング案もあったのですが、ゼネマネ下田の一声によりボツになります。



重症のアニメオタク下田は言いました。

下田:「オレ、アクエリオン好きなんで、ダクタリオンがいいっす!!」
小野:「却下!!」







7月17日           


この日は前日決まらなかったカヌーの名前を決めます。
本日の会議は完全本気!!

テンションを上げるために上星川のジョナサンに集合することになりました。

上星川のジョナサン…食事もできるし、勉強もできる。

学生にとって憩いの場である。

真剣に会議をする大西・定月。
実はメニューを選んでるだけ。


真剣に会議をする小野・中澤。
タバコは会議っぽさを演出するためのフェイク。


大西:「昨日は何が決まったんですか?」
中澤:「とりあえず、カヌーが雄ってコトだけ・・・・・・。」
定月:「そこからどうやって名前決めていきましょうか・・・・。」
小野:「とりあえず、雄ってからには絶倫じゃないとイヤなんだけど!」
中澤:「たっ確かに!!」


というワケで、急遽このカヌーは『絶倫』であるコトが決定しました!


ここで、絶倫についての誤解をといておこう。




ぜつ‐りん【絶倫】
[名・形動]技量などが、なみはずれてすぐれていること。また、そのさま。抜群。


上の辞書の言葉にあるように、絶倫とは非常に優れている様子を指す言葉である。

普段、「精力−」といったように使用される場合が多いため、この言葉にアレなイメージを持っている方々は非常に多いことであろう。

しかしながら、本来の意味はまったく違い、ましてや『動物的な種族保存能力に優れている』という意味で使用するのはまったくの間違いである。




そして、

小野:「研究室のみんなが力を合わせるみたいなのがいいなぁ。」
大西:「そして初めて大きな力を発揮する的なヤツっすね。」
中澤:「それだったら、プレキャストの意味にもつながるしね。」
定月:「それで行きましょう!!」

という会話の中から最終的に決定したカヌーのネーミングは、




に決定!!



ネーミングの意味

ダクタルを使用して、プレキャスト部材が集まってできたカヌー。
それと同時に、研究室に所属する21名の『絶倫』達が力を合わせて作成したカヌー!

クラスターという単語には、集合という意味が含まれています。

戦争に使用される非人道兵器『クラスター爆弾』と本カヌーは、一切関係がありません。




本日の議事録





ついにカヌーの名前と決まりました。
それを元に、デザイン班リーダーの小野が色と模様を考えます。

そして、会議の夜に最終デザイン案が、絶倫たちにメールによって配布されます。

色は黒をベースとし、赤の3本ラインを入れたダクタリズム!!

いよいよ来週より製作にかかります。







7月17日           

このあたりから世間はお盆にはいる。ただ、学生にお盆はない。

今日もカヌーの製作は続く。

ただ、気がかりなのは最近メンバーが変わっていないような…


と、ここで、8月前半に塾講のバイトで明け暮れていた、

最も頼りになる男が帰ってきました!!

設計班リーダー その名も萩原和樹


彼が帰ってくれば、もう怖いものは何も無い。


それでは、装飾の様子を写真でどうぞ!!

まずは補修の続き。 ミスを徹底的になくします。
水漏れがあった場所を念入りに補修。 さすが、頼りになる萩原!!
エポキシ樹脂を混ぜ合わせて、 カヌーにやさしく塗り塗りします。
大西は得意の落書き中 カヌーに乗りながら中澤が撮影。
頼りになる男、萩原。 どこにいても頼りになる男、萩原。


ここで、本来カヌーに取り付ける予定だったフィン(ヒレ)も出来上がりました。


固まったフィンを・・・・、 丁寧に脱型。

完成したフィンは、
予想以上にゴツい・・・・・。

というかゴツすぎてもはやフィンとして使用不可!!


誰だこれを設計したヤツ・・・・・・( ̄▽ ̄;)



というワケで、

このゴツさに惚れた四人の戦士
(小野・中澤・大西・定月)が、
早速強度を測ります。



材料は最強コンクリート『ダクタル』!!


これ、絶対壊れねーだろ・・・。

中澤が乗ってもまったく大丈夫。
80kgの定月がのっても、たわみさえしない。
当然大西は楽勝。
もはやベンチとして使用する小野 愛をはぐくむダクタルベンチ
こんなコトしても大丈夫。 フィンを気に入った小野。

こうして、ダクタルの強度を存分に堪能した我々は、
深夜の研究室で地味ぃ〜・・・な作業に移ります。


塗装に使用する文字のカッティング・・・・。

想像以上にしんどい作業です。

文字をカッティングする定月。

時間は深夜3時半。

ひたすらみんなで作業。
交通研からは、研究に疲れた西尾がやってきます。

エネルギーチャージ。

小野はビールを飲めば作業効率が格段に上がります。

見て〜、『ク』の文字ができた〜。




みて〜、『横浜国立大学』できた〜。




7月17日           

昨夜の深夜作業により、本日は朝から準備万端!!


天候も微妙な曇り!!


絶好な作業日和!!
(晴れだと暑過ぎて死ぬ。)

満を持して、カヌーの塗装作業を開始します。


まずは塗装面をひたすら研磨!! 執念で磨きます。
塗装が終われば、補修の最終チェック。 細かい穴は、エポキシ樹脂で埋めてきます。
お、水漏れポイント発見!! 顔になりました。
でも容赦なく埋める小野。 仕上げは小日山のKiss☆ (マジキモイ)
その後はスプレーを吹っかけまくり、 下地の黒を塗り上げます。
スプレーかけられそうで落ち込む中澤。
下地の黒いカヌーが完成!!

ここからは、赤いラインを入れる作業に入ります。

マスキングテープで緻密なラインも楽勝!!

黒地に鮮やかな赤を映えさせるためには、まずは下地に白を塗ってその上から赤!!


塗装業で名を挙げた小野の『スプレーのコツ』です。


赤く塗った場所も・・・、

テープをはがせばこの通り!!

頼りになる男、萩原もテープ作業!!

顔に気合が入りすぎです。

赤いラインの上からもう一度黒で仕上げ!! 反対側も、まずは下地に白!!
その上から赤を塗る!! ダクタルでリンボーダンス。
テープを剥がせば、美しいライン。 作業後のカヌー。

本日の作業はここまでっ!!


小野:「みんな、手伝ってくれてありがとう!!」
萩原:「いえいえ、お安い御用っす!!」








7月17日           

前日終わらなかった作業の続き。


いよいよカッティングした文字を書きます。 作業はみんなで効率よく!!
新聞紙でガードしながら、 文字を貼り付けます。
準備が終わったら、 いよいよスプレー!!
頼りになる男は口からスプレーを吐きます。 ぬおわー!!
スプレった面を剥がしてみると、 美しい文字の出来上がり!!
さらに仕上げで綺麗にしていき!! ついに塗装が完了!!

ついに完成!!

ダクタリズム
〜絶倫★CLUSTER〜


底面の模様は、沈没しないと見ることの出来ない江戸職人の粋っぷり!!


デザイン班!! お疲れっした!!

(吉田(早)とダゴさんはお休み・・。)

最後は恒例、作業したみんなで記念写真!!

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