横浜国立大学 コンクリートカヌー

『美』への挑戦

第十話 オール・浮力体作成

設計班メンバー紹介
Paul Sessanga

ウガンダから来た留学生。

今回は残念ながら北海道でインターンシップを行っていたため、不参加だった。

しかし、北海道からカヌー大会への祈りの念が、強力に感じられたとか感じられなかったとか。
玉置 久也(修士2年)

今までだったら、リーダーは第二話参照としたいところだが、人数が少なくて寂しいためここに掲載。

笑顔がすべての人々を癒す。
小松 怜史(修士1年)

昨年のカヌープロジェクト
のリーダーを務めた男。
その実力は折り紙つき。

そんな頼りになるこの男に誰もがMAXまで頼るため、さすがにウザそうにするかと思いきや全然そんなコトのない天賦の才を持ったナイスガイ


今回のオール作成のポイント


去年はカヌーの製作に集中したため、レースに必要不可欠なオールの製作があいまいになってしまった。

そこで、今年はオール製作に力を入れる!!


オールの主材料は、軽量で水に抵抗に十分に耐えることのできる強度を有す、FRP(繊維強化プラスチック)を選定した。

形状は、既成のオールを参考に、水をもっとも効率よくかけるよう、60度の角度をつけて、水かきを設置。

もち手は最大限の軽量化を目的として、木材とした。





以下、オール・浮力体班の活動をどうぞっ!!







ザー・・・ザー・・・・。
(雨の音)

誰も気づかない雨の中、一人実験室で黙々と作業をする男がいた・・・・・・。
その名も、絶海の勇者・小松怜史!!



7月17日           
恒温室で、孤独に作業する小松。 オールの型を、紙粘土でとっていきます。
一枚目が固まったら、

二枚目も作成。

できた型はこんなふうになります。

そこにFRPを流し込み、

固まるまで待つという作業。

こんな地味な作業を誰にも知られず一人恒温室で行う小松君。

一人でFRPを整形する小松の背中には、言葉にできない哀愁がただよう。





小松の孤独なオール作成は、続く・・・・・・・



7月17日           


翌日・・・・・


小松: 「さ〜て、昨日ボクちゃんが一人で一所懸命に作ったオールは、ちゃんとできてるかな〜??」


小松:「今からオールを運びます。」 壊れないように、そ〜っとね・・・。
うむ、我ながらいい出来だ。 みんな見てくれ!!
今こそオレが作った・・・!! オールを披露し・・・あっ!!

ベリベリベリベリ

小松:「んん?」

ベリッベリベリ

小松:「ああっ!!」


小松:「バッ・・・バカな!!」

小松:「なぜだっ・・・!?」



玉置:「お前、ちゃんとFRPに硬化剤混ぜたか!?」
小松:「え・・・・・・・・・?  硬化剤・・・・・・?」
玉置:「FRPは主剤に硬化剤混ぜないと固まらないぞ!!」
小松:「・・・・・・・・・・・・・・・。」


完全に硬化剤混ぜ忘れて、固まっていないオール。







小松:「無念・・・!!」


こうして、小松の孤独なオール作成は、失敗に終わりました。

頑張れ小松!!

まだまだ君には明日がある!!



穴の中から小松参上!!
小松:「ボクちゃん、頑張るよ〜!!」



7月17日           
以前の失敗を元にして、 再びオールを作成。
手順は同じだから、そこまでは割愛。


そして時は経ち、今度は硬化剤も入れ忘れません。
固まった紙粘土は、 水に浸して、
型を溶かします。 型をナイフで落としていくと・・・・、
FRP製のオールが完成!



ぬー・・・・・・



ピョーン

さて、やりますか・・・・。
粗造したオールを、 グラインダーで削って形を整えます。
その後はペイント。 本体と同じデザインにしていきます。
スプレーをする小松 スプレーする玉置
働かざるもの、食うべからず。 腹が減っては、戦はできぬ。


完成したオールは、大会当日お披露目となりました。






続いては、浮力体の作成にかかります。



下田リーダーのミニウンチク
下田: 「浮力体とは万が一カヌーが転覆などした際に、カヌー内への水の浸入を防ぎ、沈没を防ぐために設置されます。(コンクリートカヌールールより)」

そのため、どのカヌーにも浮力体の設置が義務づけられているのです。


浮力体の量はカヌーの重さが大きくなるほど、その量も増えます。

さて、カヌーの重量はいくらになるでしょう?





定月:「栗田さんと同じ位じゃないですか?」
萩原:「いや、そこまでは重くない。」
兼子:「それじゃ水に浮かねーよ。」
小松:「・・・・・・・・・・・・・・・。」


今回作成したカヌーはとても重いため、 はかりを二つ使って計量しました。
おそるおそる画面をみると
107.56kg 43.22kg


定月:「栗田さんと同じ位でしたね・・・。」
萩原:「まさかここまで重いとは・・・・。」
兼子:「これじゃ水に浮かねーよ。」
小松:「・・・・・・・・・・・・・・・。」


計量の結果、本カヌー『ダクタリズム』の重量は150kgを超えるコトが判明。

設計は100kg位(それでも十分重い)だったのに・・・・・。

恐るべしダクタル

兼子:「材料のせいじゃなくて、作ったウチらのせいだけど。」


そのため、ダクタリズムの浮力体はとてつもない量が必要になります。


しかし、浮力体をつける場所は少ししかありません。

性能を満たす浮力体、果たして作成可能か・・・・・。

改めて水もれチェック。 あいかわらず水は漏れてます。
浮力体は発泡スチロール。 形を合わせて、
何枚をカットし、 重ね合わせる。
一応、足置き場です。(下田作) エポキシで固定すれば、完成
今年のブイです。(去年の使い回し) 溜まった水はポンプで排出!!

ついでに
カヌー本体には、万が一レース中にカヌーが沈没した際に備えて、クレーンを引っ掛ける金具を取り付ける必要があります。

去年のカヌーでは、このクレーンにお世話になりまくったっていう噂もある位重要な部材です。

作成の指示を出す下田。
小松:「承知いたしましたっ!!」
小松:「ぬおおおおおおお!!」 ぎゅいいいいいいん
高橋君も、「ぬおおおおおおお!!」 金具を引っ掛ければ完成!!

これで沈んでも安心。


ま、絶対沈まないけどね( ̄ー ̄)




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