横浜国立大学 コンクリートカヌー

『美』への挑戦

第7話 本練り・打設



今週がカヌーの山場。
以下のように毎日作業が続きます。


果たして夏休みに入り、人は集まるのだろうか…


4日(月)AM10:00〜、本打設
5日(火)散水
6日(水)AM10:00〜、脱型
7日(木)AM10:00〜組み立て
8日(金)AM10:00〜組み立て


完全機密の超絶材料ダクタルでついにカヌーのプレキャスト部材を作成します。

4,5日はリーダー下田は大宮出張のため不在。

そのため、下田はキャプテン兼子にすべてをたくす。


ということで、担当は前回に引き続き材料班。
リーダーはキャプテン、筋力肉弾魔人などと呼ばれる兼子。

では締まって行こう!!






7月17日           
続々と実験棟に集結する戦士達。 戦闘服(作業着)で臨戦態勢の吉田(佳)


兼子:「定刻だ!!作業開始!!総員戦闘配置につけっ!!」


まずはメッシュの用意。 眠たそうな栗田。
上手にメッシュが切れました。 黙々と作業をこなす高橋。
高橋:「時間厳守です。」
型枠の用意をする作業員。


やたら人口密度が高い恒温室。


作業を見張るキャプテン兼子。
サボりが発覚した場合、秘技:「ダクタル斬り」で処断されます。



恒温室(20℃)の天国での作業を終え、型枠を最終チェック。



整然と型枠に並ぶボルト。これがプレキャストの接合を担います。


ネットを張り、あとは打設を待つのみ。 ボルトとネットでプレキャスト材を接合。

午前中いっぱいかけて、型枠の準備は完了!!
午後からはいよいよ型枠にダクタルを流し込む本打設の工程。

兼子:「午前中に作業全部終わる予定だったんだけどな・・・」
小日山:「仕方無いっす。午後に望みを託しましょう。」



気を取り直して、昼食後に打設に入ります。

練り混ぜの様子は、第六話と同様に写真ではお伝えできません。

その辺はお察し下さい。



練り混ぜの準備
この段階からカメラはシャットダウン。
練り混ぜ遠景。
椿先生も作業の様子を見守っています。
練り混ぜの様子(表情のみでお伝え) 栗田ママ:「カレー(ダクタル)できたよ〜。」


いよいよカヌー本体の打設に入ります。

試し練りの時とは違い、大型の型枠を使用するため、打設も一苦労。

最近では横浜にも地球温暖化の波が訪れ、酷暑の中の打設作業はマジでシンドいものでした。


打設の様子も、写真でお伝えすることは契約違反となってしまうため、音声のみでお楽しみ下さい。


森:「誰っすか!!ここにモルタル流し込んだヤツ!!」
吉田(佳):「全然端まで充填されてないよっ!!」
米田:「チッ・・・・(雑な仕事しやがって・・・・。)」
重野:「隊長!!早くしないと表面が乾燥してしまいます!!」
兼子:「それはイカン!!霧吹きだ!!」
中澤:「よーし任せてください! シュッシュ(霧吹きの音)」
兼子:「中澤さん!!それ、水じゃなくて離型剤(油)っす!!」
小野:「うげ!!油くせぇ!!」
兼子:「拭き取れっ!!拭き取れぇぇぇ!!!」
高橋:「隊長!!そんなコトより表面の乾燥がっ!!」
兼子:「ぎゃああー!!」





とにかく手間がかかるため、打設の作業、大苦戦です。


まだ前の型枠の打設が終わってないのに、次から次へと材料が運び込まれ、全員かなりテンパりました。

何人かはマジパニックで意味の分からない動きで、傍から見てると結構笑えます。

もしリーダー兼子の卓越した用兵が無ければ、戦闘員達は潰走していたことでしょう。



そして最後の大仕事。

大型の型枠三枚に一気にダクタルを流し込みます。

これが本日の作業のクライマックス。

総力戦です。

1枚目・・・・・・完成!!
2枚目・・・・・・完成!!

3枚目・・・・・・

あれ・・・・・・



兼子:「やべぇ、材料足りねぇ・・・。」


三枚分のダクタルをしっかり計算して練ったハズなのに、1枚目と2枚目の型枠が終わった時点で、何故か3枚目の分が明らかに足りてねぇ!!


兼子:「さて、どうすっかな・・・・・・・。」
高橋:「もういっちょ練りますか??」
兼子:「いや、実はもう材料全部使っちゃったんだよね・・・。」
森:「今から頼んだら、どのくらいかかるんですか・・・?」
兼子:「分かんねー・・・・・・。」


3枚目の材料が足りなかった原因として、1枚目と2枚目の型枠に厚く流し込み過ぎたというコトが考えられます。

プレキャスト材の厚さがどれ位になってるかについては脱型時に確認しましょう。

プレキャスト材の設計厚さは7mm。

果たして実物は何mmで作ってしまったのか!?



兼子:「ええい撤収だ!!今日のところは出直すぞ!!」

隊長の一言により、今日の作業はここで打ち切り。
仕上げ、片付けの作業に入ります。

小松が養生用の布を丁寧に被せていきます。 心の友、大西との共同作業。
余ったダクタルは供試体に。 さらに余ったものは、小日山の食糧。
すべての型枠にウエスを被せ終え、 布を被せ・・・・、
執拗に湿布養生。 後は片付けに入ります。
ミキサーを洗う栗田。(空腹MAX) 道具を洗う栗田(定月を食おうとしている。)
洗った汚水を運搬する定月。かなり大変。 ソンさんと何やら語る大西。

全員猛暑の中、過酷な作業を終えて汗ダクです。
ダクタルだけに。

この時、小日山が言った一言が悲劇を生みます。


小日山:「あ〜いっそのコト、水浴びとかしたいっすね〜。」
大西:「私は、神だ。 お前の願い、叶えてしんぜよう。」



こうして・・・



小日山に容赦なく水ぶっかけまくる大西。 パンツまでビショビショにされます。
ノリが良い感じで楽しんでますが、 最終的に結構ヘコむ小日山


実験棟の片付けも無事終わり、本日のカヌー作業は終了。

一流の戦士達は、道具を大切にするコトにかけても一流である。

作業した後の実験室はいつもピカピカ。使う前より美しく。美。

・・・・ピカピカ?



かの有名なイチロー選手は、超一流選手になった今でも自分のグローブは自分で磨いているという。

見習うべし。


こうして若者達はみな、自分の研究や授業の課題など、各々が抱えたタスクへと散っていきます。

さようならまた明日。







7月17日           

試し練りの失敗(養生が短すぎた)を教訓に、本日は脱型は行いません。
養生のために、散水だけを行い、様子見。


しかし、カヌープロジェクトはカヌー本体以外の活動も同時進行中です。
本日はオール・浮力体チームが密かに活動中・・・・・。

その様子は第九話でお伝えする予定です。



小松の孤独なオール作成!!
小松:
「乞うご期待」

7月17日           

いよいよプレキャスト材の脱型に入ります。


それに加え、一昨日足りなくなった材料は無事追加する事ができたため、最後の打設も同時進行。
さらに、カヌー底部に取り付けるフィン(ひれ)も作成します。

材料班マネージャー、兼子がその現場指揮能力を最大限に発揮。

さらに、昨日、一昨日と不在だったゼネラルマネージャー下田も帰還しました。
ベストメンバーも揃い、複雑な作業もドンと来いです。

では、前回悲惨な目にあった、脱型を頑張ろう!!



養生してあるシートの中身は、 固まったプレキャスト材
壊れないように・・・・・、 丁寧に脱型。
以前小日山が書いた和式便所の絵。
まだ、残ってる・・・・・・・・・( ̄▽ ̄;)
脱型したプレキャスト材は、
養生用水槽に直接ドボン。


下田:「船になったら沈めないからな。今のうちに思う存分沈んでおけ。」
重野:「・・・・・・・・(そううまく行くかな?)」


続いては、フィン作成と最後のプレキャスト材の打設の様子。

ここでも打設時の写真はありません。
雰囲気のみ感じていただければ幸いです。


型枠の用意をする栗田と高橋 フィンの型枠はウレタンで作ります。
棒状の物を持つと・・・、 人を叩きたくなる剣士・中澤
殴られそうな高橋。 栗田:「ヤキありがとうございますっ!!」




この機密材料『ダクタル』は、太平洋セメントと秘密保持契約を結び使用させてもらっているスーパーな材料です。

どのくらいスーパーかというと、厚さ3cmの板にトラックが乗っても大丈夫という常識を外れた頑丈さ。

その時の実験の様子はテレビ放送されました。

テレビ放送の様子(youtube 2m50sあたりからがダクタルの紹介)

そんな強さを誇るダクタル使用のコンクリートカヌー。
ここで試し練りで練った極薄部材に人間が乗って、強度を実感してみることに。

部材は試し練りで使用したものを利用。
厚さは7mm。

3cmでトラックなら、7mmでも人間一人や二人くらいはヘッチャラであろう。


では、その様子をご覧下さい。





部材をブロックに乗っけて、 おそるおそる乗る下田。
ゼネマネ下田が乗っても大丈夫!!
推定体重50kg強
中澤がのっても問題なし!!
推定体重60kg弱
定月が乗って全然平気。
体重78kg
身長185cm 
キャプ兼子が乗ってもびくともしない。
体重??kg 
(キャプテンの筋肉は常人の5倍の密度)


ここで、みんなの期待を背中に背負う栗田の登場です。

栗田:「定月や兼子君が平気なんだから、私は平気に決まってんじゃん。」


楽勝ムードを漂わせながら乗っかる栗田ですが、



 

ミシ・・・・・

栗田:「ん・・・・・・・・・?」




ミシ・・・・ミシミシ

定月:「まっ・・・、まさかっ・・!?」



メリメリメリメリ・・メキメキ・・・・


バキっ!!



!!



まさかの大破!!

最強部材ダクタル、真っ二つ!!






きっと栗田は、みんなの期待を背負っていた分、重かったのでしょう。





下田達がこんな実験をしている間に、優秀なる戦闘員たちはすっかりと片づけを終了させてくれました。

ここでとりあえず今日の作業は終了。

次回、フィンと最後のプレキャスト材を脱型したら、すべてのプレキャスト材が揃います。

そうなれば、次なる段階は組み立て。
いよいよ船の形が姿を現します。


それでは第八話を乞うご期待!!

絶対見てくれよな!!






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