横浜国立大学 コンクリートカヌー

『美』への挑戦

第四話・炎の型枠・図面設計班会議


第3話で海洋コースの平山教授に頂いたアドバイスを元に、とうとうプロジェクトで使用されるカヌーの設計会議が行われました。

以下・平山先生との打ち合わせ報告書

安定性について

 安定性は船底の形で確保できると考えていたが、平山先生のアドバイスによると、安定性は重心と傾心の位置関係に依存する。船底の形は微小なブレの補正にはなるが全体的な安定性にあまり影響しない。

 

直進性について

フィンの取り付けで直進性向上。フィンは対称に二つけるのがベター。日本丸は船底に対称的に二つ、船尾に舵が取り付けられている。

そこで今回は以下に記すようにフィンを3つ取り付けてはどうか。

日本丸 08カヌーで提案するフィン

船体の形状について

・船の全長/幅は大きいが良い。大きいもので7〜10のものがある。

・船の断面積はなるべく小さいほうが良い。(抵抗が減る)

・側壁を高くしてはどうか。(←昨年は、水が船内に入ってきた)

・船体の全体は角ばっていないほうが良い。(波が乱れる→抵抗性大きくなる)

 →流線型の形が望ましい(機能美が結果的に概観の美にもつながる)

まとめ

とにかく安定性を確保するには、重心と傾心の位置関係が重要。綿密な計算により、安定性確保することで、確実な安定性が確保できアピールポイントにもなる。さらによりアカデミックなほうが、大学院生らしいカヌー大会への参加につながるのでは。

7月17日           
上記の結果を基に、会議を開催!!

会議は長時間に及び、倒れる者もしばしば。

それでも何とかカヌーの形状や、寸法を決定しています。

ま、これだけ話し合っても材料がコンクリートだから、誤差ありまくり。
飽くまで仮決定なんですけどね。



リーダー萩原:『それでは今から会議を開始します!!』
下田:「どういう形がいいかな・・・?」
栗田:「断面が少ないほうがいいんじゃないかしら?」
中澤:「あまり複雑な形にすると、施工が困難になるよ・・・。」
小松:「その辺はトレードオフですよね・・・・。」
大西:「お前らは全員間違っている!!」

この時、この会議が想像を絶する長さになるとは、誰も考えていなかった…

会議は土木等302号室で行われました。 ホワイトボードに図を書きながら、
みんなで意見を出していきます。 図1 栗田画伯作
みんなが真剣に話し合いをする中・・・、 小松だけは上の空。
カヌーを漕ぐ動きで、大きさを確かめます。 顔が完全に犯罪者
会議により、何かが壊れた。
出された案を、書記・栗田が板書します。 縮尺が明らかに変。
ある人曰く、彼女は昔から色のセンスがない…
図が書き直されたのは言うまでもない。
ペーパークラフトで作ってみることに。 ゼネラルマネージャー自ら作業。


意見は出されつくした感がありますが、どれも決め手に欠け、なかなか決まりません。
みんな空腹にあえぎ、そろそろ疲労感がホヤホヤと漂ってきました。

そのとき、神の一声が!!
リーダー萩原:『それでは一度休憩にします!!』




休憩中・・・・・♪


作品名:『バーガーを食らう栗田』

ある人曰く、
彼女は実においしそうに食事をします。食べている時が一番幸せ♪♪
昔からの、口癖。

作品名:『バーガーを食らうリーダー』 ようやく真面目な話し合いに戻ります。
大まかな形状が決まってくると・・・、 再び漕ぎ手の正確な寸法を測定。
後ろから、何者かが設計リーダーを攻撃5秒前。
全員で計算し、寸法を割り出します。 ゼネラルマネージャー自ら計算。
飽きて落書きを始める大西と中澤。 せっせと落書きを続ける大西。
会議終了後のホワイトボード
右下に見えるのは、中澤が考案したN700系カヌー
話し合いの結果、今回は導入見送り…
来年に期待!!!
大西画伯作:『カヌー』
話し合いの結果、今回作成するカヌーは上の形に決定した。

『この形に至った経緯』


今回作成するカヌーはプレキャスト形式でつくることを前提に設計していた。
平山先生のアドバイスでは『早いカヌーにするには水の抵抗を減らすために、カヌーの形は曲線形にした方が良い』と言うことだった。

しかし、プレキャストで曲線を作ることは、手間や時間を考慮すると難しい。
また、去年の結果から、カヌーの形が勝敗を決するような僅差での敗北ではないことを考えると…
(勝敗以前に、スタート直後に沈没した)

その結果、今回はやむなく直線をベースとしてカヌーに設計した。
直線の板で板を作るため、接合部以外は打設は簡単だと考えている。
(やってみないとわからないが…)

前後の形は特に対称でも、問題ないため、前後対称のカヌーである。
また、幅と長さの比は大きい方が良いという平山先生のアドバイスから長さは長く、幅は出来るだけ短くなるようにシャープな形にした。

去年の反省点を生かし、今年は切りかけを設けていない。これにより、カヌー内に水が浸水することはないだろう。
さらに、今年度のカヌーは底面に3本の矢、フィンをつける予定である。これも平山先生のアドバイス!!

このカヌー、私から見れば、”美”である!!!(下田談)



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