今年は九州三県(熊本、大分、福岡)を見学してきました。
 熊本で被災した橋梁を視察し、日本一美しいとも謳われる白水ダムの見学、日本一の高さを誇る人道つり橋に、歴史的な重みが感じられる山田堰、河内貯水池を見学しました。最終日は日本の大プロジェクトの一つである関門トンネル、関門大橋を見学しました。NEXCO中国エンジニアリング(元山口県)の二宮さんにも一部ご参加いただき、非常に充実した3日間でした。
学生たちの感想(届け出順)をご覧ください。これとは別に、夏合宿幹事の岩間君による合宿の総評はこちらにございます。


B4 戸崎 友裕

3日間で色々な場所を訪れましたが、最も印象に残っているのは1日目の災害現場見学です。今までに立入禁止の区域に入った経験はありませんでしたが、想像以上の被害、そして5ヶ月が経過しても尚復旧が進んでいない状況に息を呑みました。舗装などが完全に剥がされた道を見て、これから道路や橋を作り直していくことの途方のなさを感じましたが、被災から復興を遂げた様々な都市が思い出され、これまで幾度の地震災害を乗り越えてきた日本人の強さを改めて実感する機会にもなりました。
 合宿前日に強い揺れの余震を経験したり、以前熊本を訪れた際にはドライブコースだった峠道が国道の迂回路になって混雑する様子を見たりと、復興真っ只中の生の被災地を訪れることができ、視野が広がったように思います。
 合宿の幹事をしてくださったM1の先輩方、ありがとうございました。

M2 田島涼

 

 建設業に従事する予定の私は、普段とは違うアンテナを張って土木構造物と向き合うことを心がけました。今回の夏合宿では白水ダムや河内貯水池など、人々の生活に欠かせない“水”を確保するための土木構造物において、現在の土木技術に引けを取らない技術のたまものを見学でき、改めて日本の技術力の高さに圧倒されました。今まで、人やモノの物流のツールとして道路や橋梁、トンネルなどの社会基盤が整備されてきたことは情報としてキャッチできてきたものの、世間ではダムからの取水制限により水の流通が困難になり、刮目されたダムあるいは貯水池に対して、本質的な機能を理解していませんでした。日本史の中で水資源を確保するための社会基盤の整備は、当時の経済力あるいは生活力の向上に欠かせないものと言われていました。歴史的な背景と現在の豊かな生活を考えると、自然の力を機械的に殺すのではなく、有機的にフル活用することで、私たちの生活はさらに豊かになるものだと思いました。今後日本の技術は進化し、洋上水力発電や水素エネルギーの活用など、改めて自然の力を必要とするときが来ています。そこで自然のエネルギーの莫大さに抗うことなく、社会基盤の整備を存続させることが地球との共存に繋がると思いました。



M2 中川恵理

大学生活で東日本大震災について学び、これ以上の地震災害はあるのかと感じました。しかし、今回の熊本地震も、本震が起こってから余震の回数が最多となる「今までに例がない地震」であるという特徴であると聞きました。震災から4か月半程、急ピッチで仮設住宅建設や構造物の早期復旧に向かっていますが、見学した俵山バイパスまでの道のりまででも、復興は道半ばと感じました。テレビで報道されていない多くの構造物や民家に被害が及んでいて、困っている多くの人がいるはずです。

しかし、日本の土木技術はとても優秀でした。九州新幹線や高速道路の復旧の素早さは物資がより迅速に被災地に運ばれることにつながりました。過去の地震から学んだことも多くあったと感じます。今回見学した構造物も、修復には時間がかかると思いますが、日本の技術を駆使して復旧に向けていくのだと思います。将来ゼネコンの現場で働くうち、一度は災害の復興関連に携わりたいと考えています。そのとき、この見学で感じたことを忘れず、土木の魅力のひとつである「人の役に立つことができる」という気持ちでいたいこと、また見学を通して、建設業の重要さについて改めて考えさせられました。

 

土木構造物に求められる役割を果たすことは大前提であるが、“景観”も重要な性能のひとつとして求められています。何十年何百年と住民の生活や農業を支えている山田堰や白水ダム、日本一の高さにもなり床版から下を見ることのできる構造であったり、360度の大パノラマである点で多くの人を魅了する九重夢大橋の景観はとても素晴らしいものでした。

 

研究室に配属されてから、夏合宿は三回目でした。今年は被災地での壊れた構造物、何十年百年も前に当時の技術を駆使して作られた構造物、重要文化財や日本一にもなる構造物。それぞれで多くの特徴があり、学ぶべき点、感じる点があったとても有意義な合宿であったと感じています。このように普段いけない場所を訪れ、自分の足を踏み入れ、目で見て、手で触ることが素晴らしく、日本の土木構造物の良さを改めて感じることができました。

 



B4 上原麻衣

 

今年4月から研究室に配属され、初めての合宿となりました。東日本大震災の時も遠く離れた場所で過ごしていた私は、この旅で初めて地震の爪痕を目にすることとなりました。俵山大橋では道路がぼろぼろになっているのに衝撃を受け、作り上げるのに長い間かかったであろう構造物を一瞬にして使えなくしてしまう自然の怖さをひしひしと感じました。しかしそれと同時に、今回見た橋梁は沈下や支承のズレはあったものの、橋桁はひとつとして落下していなかったことが、日本の技術を物語っていたように思いました。また、学校で勉強したことがひとつひとつ実物に結びつけられたときは嬉しく、現場を直接見ること、体感することができたとても貴重な経験に感謝しています。そのあとには白水ダムや九重夢大橋、河内貯水池など、様々な土木構造物を研究室の仲間と見ることができ、とても内容の濃い三日間になりました。



B4 石橋奈都実

 

私は、九州に行ったのが2回目でかつ博多より南には行ったことが無かったので、初めて見た土木構造物ばかりでとても刺激でした。今回見学した場所の多くは今まで授業で習った構造物であり、実際に見学することでより理解が深まったと思います。

 初日は熊本の復興工事現場を見学させていただきました。まだ震災の爪痕が残っている状態を見て、自然のエネルギーを肌で感じさせられると同時に落橋させなかった日本の技術に感銘を受けました。また、壊れている橋の上という危険な場所で命を懸けて橋を直すための工事を黙々と進めている技術者たちを見て、尊敬の念を抱きました。

 他にも白水ダム・九重夢大橋などをはじめとする九州の美しい土木構造物に触れ、土木構造物の魅力を再確認することができました。そして、前からお会いしてみたかった二宮さんと夏合宿の時間を共にすることができ、とても勉強になりました。

 最後にこの夏合宿を企画していただいた岩間さん・先生方、ありがとうございました。



B4 井川広大 


今回初めて研究室の夏合宿に参加し、様々な土木構造物を見て刺激を受けることができました。自分が研究室に所属する前と比べて違う角度から物が見え始めていることを感じることができました。また、被災地を見学し、ひび割れを考察することで今まで勉強したことが実社会につながることを感じました。夜には先輩たちと本音で話し合う機会もあり、今まで以上に研究室が好きになりました。夏合宿を企画してくれた幹事のM1のみなさんありがとうございます。


NGO van Toan D2,

This is the first time I joined Summer Trip with our Concrete Lab.  
It was so amazing to visit Kyushu area where is the third largest island of Japan and most southwesterly of its four main islands.
Its alternative ancient names include Ky?koku ("Nine States"), Chinzei ("West of the Pacified Area"), and Tsukushi-no-shima ("Island of Tsukushi"). 
The historical regional name Saikaid? (West Sea Circuit) referred to Kyushu and its surrounding islands. 
The island is mountainous, and Japan's most active volcano. 
Aso Mountain at 1,591 metres, is on Kyushu. 
There are many other signs of tectonic activity, including numerous areas of hot springs. 
The most famous of these are in Beppu, on the east shore, and around Mt. Aso, in central Kyushu. 
The island is separated from Honshu by the Kanmon Straits.
Although it took only three days, I had wonderful experiences with all members in our Lab and I had enjoyed beautiful landscapes in Japan. 
Firstly, I experienced in eyewitness serious damaged works and explained reasons why there are many earthquakes 
and severe damaged consequences for works in this area. 
From that, I can understand clearly about a part of Japan. 
Secondly, I enjoyed first time in my life about amazing and natural scenes as this island. 
We always see a green color of Trees, Grass on hills, and rice fields at this area. 
Besides, beautiful natural streams also contribute to create more mysterious beauty for this area. 
Next, this trip gives me a chance to view many great works in Japan such as Kokonoe ‘Yume’ Otsuribasi Bridges or Hakusui Dam. 
Last but not less, this trip helped all members in our lab friendlier with other people, and created good relationships among us. 
From deep in my heart, I say thank you to all Sensei, 
and students in our lab because thanks to all people I had have a really nice summer trip in Japan. 
I would like to have many chances to discovery new landscapes here in the future.

M2 趙禹卓


 二回目の夏合宿であり、学生時代最後の夏合宿が終わりました。今回様々な壮絶な光景を拝見しながら、刺激を受け今までの人生経験と繋がり、とても有意義な夏合宿だと思っております。

 2008年四川地震を体験した私は自然災害と直面した人間の脆弱性が理解しております。地震当時周りの人が不安と緊張している姿はまるで昨日の話でした。今回熊本県被災した橋梁と道路の激しさはすごく衝撃でした。半年前地震当時の怖さが想像できるでしょう。

 また、余震が発生しつつ中で補修補強と再建などが行い、安心安全な生活あるいは人命を支えている土木の重さがより一層重くなりました。来年ゼネコンで働く私は残った学生生活を後悔なく過ごし、社会に信頼される人間になりたいです。

 最後にコンパクトなスケジュールを設けた?1に感謝です。また、私の質問に説明していただき先生方にありがとうございます。すごく充実した夏合宿でした。 


M1 岩間 慧大

 

 昨年の夏合宿に参加できなかったため、本年度が初めてのコンクリート研究室の夏合宿でした。さらに、幹事という責任ある形で参加させて頂きました。先生方、先輩方のアドバイスや同期のフォロー、皆さんの協力もあり、比較的スムーズな進行ができ、非常に感謝しております。

 この度の夏合宿では、貴重な現場や構造物を見てきましたが、この感想には、私の将来像を固めるに至った、価値のある経験について述べたいと思います。スピーチでは上手く伝えられなかったので、ここでもう一度書かせて頂きます。

 1日目の午前中には、被災から約5ヶ月が経った被災現場を見ました。東日本大震災とは違い、家や構造物は残っているものの、それが被災したままの姿で残っているのもまた悲惨でありました。

そんな中、辛い現場を見ながらも、そこを必死に復旧させようと努力する現場作業員の方々の姿がありました。作業をする大変さだけではなく、精神的にも苦しいはずであるのに、よそから見学にやってきた我々に笑顔で挨拶をしてくれました。その優しさと強さに触れ、人の温かさを感じました。

また、最後の見学場所に向かう途中、その構造物のすぐそばに、全壊した状態やブルーシートで覆われた状態の家が多くあるエリアがありました。そこにたまたま、小さな鍬を持って畑仕事なのか、趣味なのか、外で作業をしているおばあさんの姿がありました。見学に行った多くの人は、気付いていないか、忘れているかではないかと思います。しかし、私の心には、その現場が深く突き刺さりました。周りには、復旧工事の作業員の方、通行止めの橋梁、壊れたままの家屋しかない中、偶然自分の家の被害が小さかったのでしょうか、その地にとどまって作業をしているのです。なんてけなげなのかと、なんて悲しい状態なのかと。

私は、「孤独に耐えて復旧を望むあのおばあさんのような現地の方々、精神的な辛さに耐えて完成を目指すあの作業員のような現場の方々のために土木をしたい。」と強く思いました。そのような方に最も近い場所で土木ができる、気遣いができるゼネコンの現場に行き、1人でも幸せな人を増やしたい、その経験を持った状態で、その現場を支える立場として、国のために、世の中のために仕事をしていこうと心に決めました。

本当に最高の経験であったと思います。学生として、幹事として、先輩として、後輩として他にも多くの貴重な経験をしました。ありがとうございました。


 


 


2016年 研究室夏合宿 学生の感想
本文へジャンプ 9月12日